しゅーいちといっしょ♪

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Thursday, March 29, 2007

E教授

の送別会が昨日行われました。
E先生は、T大学からK大学にある通称「キケン」と呼ばれる研究所に移るご予定です。
(うーむ、日頃こういう言い方に慣れてしまったが、
使い方を間違えると誤解を招きそうだ。
K大学構内で:(「スウケンはこの建物ですか?」)
「いや、この建物はキケンだよ。」
他にも、枚挙にいとまがない。
電車内で:(「あの定積分どうやった?」)「チカン(積分)すればいんじゃね。」
一般人の中で:「2次元にいくと(理論が)非常に美しい。」
下手に省略してしゃべるのはそれこそ危険だ。)
E先生に縁のある方々が多数いらっしゃって雰囲気を盛り上げていました。

僕とE先生の初めての出会いは物理数学2ではないだろうか。
あの癖のある特殊関数たちを「ああ、お前ね。」といった感じに
軽々と扱っていった講義に、熟練者のなせる職人芸だな、と感じたのを覚えている。
いつか研究者として対等な気分でしゃべれる日が来ればいいな、
と淡い希望を抱きつつ心の中でお別れを告げる。

Tuesday, March 20, 2007

farewell party

が去る3月16日に行われました。
去っていくのはKやまさん、NBやまさん、NKやまさん、Sくらいさん。
思い返せば、D3の方々にはいろいろお世話になった。
今はアメリカで頑張っている(であろう)Tさんには、嫌がる先輩方の中
僕の下らぬ質問に率先して丁寧に受け答えしてくれた。
Kさんには、最初ものすごくあやしい奴だと疑われその後も揶揄され続けたが、
内部情報や物理の議論は僕にとって貴重な経験であった。
NBやまさんには食事に一緒に行って経験談を語っていただいたり、
行き過ぎた後輩の態度をたしなめていただいた。
NKやまさんには、M1セミナーにも顔を出していただき、
鋭い意見を繰り出して僕に緊張感と刺激を与えてくれた。
Sくらいさんには、Γ関数についての知識を与えてくれた。
素研での5年間お疲れ様でした。
先輩方が抜けて本郷から元気が無くなった、と言われることのないよう
早く先輩方の穴を埋められるよう日々精進しよう。

Monday, March 12, 2007

メモ

高エネルギー物理が実生活に役に立つという(貴重な)例。
中性子散乱法がパーキンソン病原因タンパク質の構造異常の解明に役立つようだ。
以下、参考サイトの要約。
参考サイト:
http://www.kek.jp/newskek/2006/mayjun/parkinson.html
http://ja.wikipedia.org/wiki/
http://www.kek.jp/ja/news/press/2006/parkinson.html

パーキンソン病は、「ドーパミン」をつくる黒質という脳組織がどんどん死んで行く病気である。
神経伝達物質であるドーパミンが不足すると、手や足に麻痺や痙攣が起きてくるのだ。
人は老いてくると、次第に脳の働きが鈍くなってくるのだが、
最近、パーキンソン病や認知症(アルツハイマー病等)だけでなく、脳の老化現象 にも脳神経細胞の「異常な死」が深く関係していることが分かってきた。
「異常な死」の主な原因は、細胞で不要なタンパク質 が細胞の中に蓄積してしまい、正常な細胞の活動が阻害されることにある。
細胞の中のタンパク質は常に新しいものに置き換わりながら細胞を維持しているので、タンパク質の合成とともに古くなったタンパク質を効率 的に分解することも重要になる。
その古くなったタンパク質に結合して分解の目印を与えるのが、「ユビキチン」というタンパク質だ。
ユビキチンが結合したタンパク質は即座に「プロテアゾームシス テム=タンパク質分解系」で認識され、アミノ酸まで分解され再びタンパク質合成の原料となるのだ。
不要となったタンパク質がプロテアゾームで分解される際、もしユビキチンがタンパク質に結合したままだと、ユビキチンまで分解されてしまい、次第 に不要なタンパク質のマーカーであるユビキチンが減少して不要なタンパク質が細胞内に蓄積されてしまう。
そこで、今度は細胞内にはユビキチンを細胞内に 回収し再利用するようなシステムが求められるが、脳神経細胞でこれを司っているのが
UCH-L1(Ubiqitin carboxy-terminal hydrolase L1)とよばれる加水分解酵素である。
(2004年に米国のアーロン・チカノーバー、アーウィン・ローズ 、アブラム・ハーシュコらは、不要なタンパク質の分解に必要な“ユビキチンシステム”の発見でノーベル化学賞を受賞。)
UCH-L1の機能が低下すると、細胞内のユビキチンプール(貯蔵)が減少してしまい次第に不要なタンパク質が細胞内に蓄積され異常な凝集体を形成し細胞を殺す、すなわちパーキンソン病発病、ということになる。
そういった複数のタンパク質分子が凝集するような複雑なシステムを理解し、パーキンソン病治療薬開発のための基礎的な知見を得るには、生体と同じような環境下(70%は水)で直接タンパク質構造を観察することが必要なのだ。
ところが、
UCH-L1自体が凝集し易いタンパク質であるため、なかなかその条件を満たして構造を明らかにすることができずにいたのだが、近年、中性子散乱法が、その条件をクリアして、タンパク質の単結晶構造をナノレベルで解析し、正常なタンパク質と異常なタンパク質のどこが異なるかを明らかにできることがわかったのだ。


中性子散乱実験だけでなく、加速器の放射光を用いた構造解析もいろいろ実生活に役に立っている模様。
http://mext-atm.jst.go.jp/atomica/15080203_1.html