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Monday, March 12, 2007

メモ

高エネルギー物理が実生活に役に立つという(貴重な)例。
中性子散乱法がパーキンソン病原因タンパク質の構造異常の解明に役立つようだ。
以下、参考サイトの要約。
参考サイト:
http://www.kek.jp/newskek/2006/mayjun/parkinson.html
http://ja.wikipedia.org/wiki/
http://www.kek.jp/ja/news/press/2006/parkinson.html

パーキンソン病は、「ドーパミン」をつくる黒質という脳組織がどんどん死んで行く病気である。
神経伝達物質であるドーパミンが不足すると、手や足に麻痺や痙攣が起きてくるのだ。
人は老いてくると、次第に脳の働きが鈍くなってくるのだが、
最近、パーキンソン病や認知症(アルツハイマー病等)だけでなく、脳の老化現象 にも脳神経細胞の「異常な死」が深く関係していることが分かってきた。
「異常な死」の主な原因は、細胞で不要なタンパク質 が細胞の中に蓄積してしまい、正常な細胞の活動が阻害されることにある。
細胞の中のタンパク質は常に新しいものに置き換わりながら細胞を維持しているので、タンパク質の合成とともに古くなったタンパク質を効率 的に分解することも重要になる。
その古くなったタンパク質に結合して分解の目印を与えるのが、「ユビキチン」というタンパク質だ。
ユビキチンが結合したタンパク質は即座に「プロテアゾームシス テム=タンパク質分解系」で認識され、アミノ酸まで分解され再びタンパク質合成の原料となるのだ。
不要となったタンパク質がプロテアゾームで分解される際、もしユビキチンがタンパク質に結合したままだと、ユビキチンまで分解されてしまい、次第 に不要なタンパク質のマーカーであるユビキチンが減少して不要なタンパク質が細胞内に蓄積されてしまう。
そこで、今度は細胞内にはユビキチンを細胞内に 回収し再利用するようなシステムが求められるが、脳神経細胞でこれを司っているのが
UCH-L1(Ubiqitin carboxy-terminal hydrolase L1)とよばれる加水分解酵素である。
(2004年に米国のアーロン・チカノーバー、アーウィン・ローズ 、アブラム・ハーシュコらは、不要なタンパク質の分解に必要な“ユビキチンシステム”の発見でノーベル化学賞を受賞。)
UCH-L1の機能が低下すると、細胞内のユビキチンプール(貯蔵)が減少してしまい次第に不要なタンパク質が細胞内に蓄積され異常な凝集体を形成し細胞を殺す、すなわちパーキンソン病発病、ということになる。
そういった複数のタンパク質分子が凝集するような複雑なシステムを理解し、パーキンソン病治療薬開発のための基礎的な知見を得るには、生体と同じような環境下(70%は水)で直接タンパク質構造を観察することが必要なのだ。
ところが、
UCH-L1自体が凝集し易いタンパク質であるため、なかなかその条件を満たして構造を明らかにすることができずにいたのだが、近年、中性子散乱法が、その条件をクリアして、タンパク質の単結晶構造をナノレベルで解析し、正常なタンパク質と異常なタンパク質のどこが異なるかを明らかにできることがわかったのだ。


中性子散乱実験だけでなく、加速器の放射光を用いた構造解析もいろいろ実生活に役に立っている模様。
http://mext-atm.jst.go.jp/atomica/15080203_1.html

8 Comments:

Anonymous Anonymous said...

スプリング8なんかは砒素カレー事件に使われたりしてたね。
もっとも高々GeV。低エネルギーです。
本気で高エネルギーを使えば飼料が焼けちゃいます。
素研なら18桁以上、上の物理でしょうに。
しゅーはこれを利用したものを見つけよう。

10:17 AM  
Blogger しゅーちゃん said...

>ノックせずに覗き込む人その1さん

>もっとも高々GeV。低エネルギーです。

この発言は、かの名言
「たかが慣性楕円体。所詮は古典力学です。」(うろ覚え)
のparodyですか。

>(GeVが)低エネルギーです

確かに電弱のエネルギースケールは素研の人からすれば低エネルギーだが、実生活からすれば高エネルギーな感が・・・

>素研なら18桁以上、上の物理でしょうに。しゅーはこれを利用したものを見つけよう。

うう、じゃあ、Kくんは14桁以上ある日本の国債の返済方法を考えよう。インフレーションで薄めるのはなしよ。

9:44 PM  
Anonymous Anonymous said...

必ずしも国債を返済するモチベーションがないきもする。
日本国債はほとんど国内のものだから、どうにでもできそう。
国内で価値観の変動が起きれば、okなきがする。
おっしゃるとおり、インフレがその一例。
戦後の日本でも同様の事態が起きたけど、
結局チャラになった。

5:29 AM  
Blogger しゅーちゃん said...

>ノックせずに覗き込む人その1さん

必ずしも18桁以上、上の物理が実生活に役立つ例を探すモチベーションがないきもする。
18桁以上、上の物理はほとんど物理数学みたいなものだから、どうにでもできそう。
理論物理で弦理論の応用が起きれば、okなきがする。
CFT,brane world scenario,MS予想がその一例。
stringは哲学だとか役に立たないだとかよく言われるけど、結局他の分野に応用されてしまった。

お手本があるとラクチンだわ♪
昔やられたので少しくらいやってもよいでしょう。
ちなみに上は「おふざけ」だが、僕のおばあちゃんは戦後一生懸命働いて将来のためにお金を稼いだんだけど、そのインフレのせいでそれまでの労働対価がほとんど消えてしまい国に不信感を持つようになった、と父が言っていました。

8:19 AM  
Anonymous Anonymous said...

知人が大型加速器を使った先端医療らしい癌治療を受けてた。

でもやっぱり、そのへん低エネルギー物理を実生活に生かす方法はいろいろ切り拓かれてるけど、「その1」さんが言うようにうちらが言う意味での高エネルギー物理を使ってない以上は、これらの例ではしゅうの研究のモチベーションをサポートするものにはなってないのでは?

いや、そんなものにサポートされる必要なんてない、と言われると言葉はないけれど。

12:34 PM  
Blogger しゅーちゃん said...

まず上から2番目のコメントの「Kくん」は「Sくん」に変更します。「その1」と書かれていたので、Kくんだと思ってしまいました。ごめんなさい。

>これらの例ではしゅうの研究のモチベーションをサポートするものにはなってないのでは?

僕の研究のモチベーションをサポートする、と主張した気はないです。「高エネルギー」を素研が使っている意味でのそれ、だと解釈されたのだとしたら語弊があるので、コメント上でもう一度訂正します。(そんな解釈されるとは思ってもいなかった、というのが本音です。だって違うのは(僕らからすれば)当たり前なので。)数GeVのオーダーで加速器を使うことを「高エネルギー物理を用いている」と言ってもいいと思うのですが、僕が言ったことによって誤解を招いた、ということで納得してもらえますか。

>そんなものにサポートされる必要なんてない、と言われると言葉はないけれど。

主張を誇張して書いていませんか。
日常生活→そんなもの
必ずしも...モチベーションがない気もする(部分否定&憶測)→探す必要はない(断定)
コピペはしていますが、確認を取りながら書いているつもりです。
ほんとにこのように解釈をしてコメントをくれているのか、僕を「test」するためにこう書いているのか、単なる老婆心なのか、あまり「読まずに」コメントをくれているのかよく分かりませんが、「gray」に言ったつもりのところを「black」と決め付けて話を進めようとしているのだとしたら、誤解の原因は書き手だけでにあるのではないし、第三者にも誤解を与えかねないと思うのですがどうでしょう。
(ちなみに僕はS君の「必ずしも国債を返済するモチベーションがないきもする」を「国債を返済する必要はない」と断言したとは思わなかったし、今もそう言ったとは思っていません。)
「gray」もしくは「black」だ、と思っても、相手の主張を今一度確認してみると相手に対して誤解を減らせると思うのですがいかがでしょうか。言われた方は「揚げ足をとられた」気分になるものです。

3:59 AM  
Anonymous Anonymous said...

「低エネルギー」って表現は冗談に決まってるやん、そんなに真面目に反論されても・・・。

俺は何かを決めつけたわけでも主張したわけでもなく、単純にしゅうならきっと知見に満ちた見解を示してくれると期待して質問してみただけなんやけど・・・。

高エネルギー物理の応用例は、多くの物理学者が自分たちの研究の理由付けとしての文脈でよく話すからね。翻って弦理論ならどうかというと、『理論物理で弦理論の応用が起きれば、ok』が十分なのかどうか俺には甚だ疑問だから、しゅうの見解をお聞きしたいなと。この前、高卒で働いてる友人と会ってたんやけどさ、仮初めにも公金を頂く研究者ならば例えばそういう人にも研究の意義を納得させられるべきだっていう意識が倫理的に必要だ、と俺は考えてるから。

2:25 AM  
Blogger しゅーちゃん said...

>単純にしゅうならきっと知見に満ちた見解を示してくれると期待して質問してみただけなんやけど・・・。

そうですか。それは期待を裏切ってしまって残念です。

>翻って弦理論ならどうかというと、『理論物理で弦理論の応用が起きれば、ok』が十分なのかどうか俺には甚だ疑問だから、しゅうの見解をお聞きしたいなと。

それを真面目に答えることを要求されると回答に窮してしまいます。だから上記でかいたようなコメントの「おふざけ」しかできなかったのです。その痛いところを理解してくれるであろうお二方がそこを敏感につつくので、少々強情になりました。
その答えは、いずれにせよ、現段階でできるかどうか分かりません。まだ弦理論が完全に定式化されたわけではないので。
何をもって「役に立つ」と思うかは人それぞれではないでしょうか。物質的に豊かになることを「役立つ」という人もいれば、精神的に「豊か」になることを「役立つ」という人もいると思います。例えば、特殊相対論が時間と空間の概念を統一したということは、前者の人からすれば何の役にも立っていませんが、後者の人からすれば、それこそそれまで規格化されていた認識の根底を覆し、「自然はこうなっていたのか」という自然の奥行きの深さを知らしめるのと同時に、如何に人間が「偏見」をもって物事を見ているか、見てきたかを人々に知らしめた意義に、日常生活が多少快適になることよりも大きな価値を見いだすかもしれません。
また、精神的にしか役立っていなかった考えが物質的にも役に立つことが判明する場合だってあると思います。一般相対論なんか当初は純粋な理論でしかなかったわけですが、現在その時計に対する精確な予言がGPS衛生を使ったカーナビゲーションシステムを可能にしているのは周知の事実です。もちろん「精神的にしか役立っていなかった考え」というのが自然を正確に記述している、と言う前提があってのものですが。
弦理論は、重力の量子化という理論の要請から出てきた産物でしか現段階ではなく、まだ未完成でもあります。しかし、重力の量子化は、奇しくも上記の例に掲げた理論を作ったEinsteinの夢であり、弦理論はその成功の可能性は秘めていると思います。そういうまだ成果は出ていないが可能性のある理論、理論家に対して、成果を強要せずもう少し温かい目で見守ってくれないでしょうか。
以上、おおざっぱな議論でごめんなさい。

9:03 AM  

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